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どうしてもお腹が空いた
ラーメンが食べたい近所にはセブンイレブンしかない
バイト終わりはいつもこうだ
夕方前か遅くても19時には終わるのに、
どうしても帰りたくなくなって街を少し歩いて、家の近所にたどり着くのは終電近くなる。その日もそんな日だった。
もうこんな日はあれだ、これしかないラーメンを食べよう、ちゃんと具があってもやしがしゃきしゃきしてるラーメンをだべよう、項垂れながら最寄駅から家につくまで歩いていたのに、私はそう閃いた。
が近くにラーメン屋はない、
そうだコンビニに駆け込み贅沢にサンドイッチの下にある一番高いラーメンをレジで熱々に温めてもらおう。(私はあまり贅沢な学生ではないのでこう思う)
一目散に帰り道にある、コンビニに駆け込んだ、ドアの前におじさんがウロウロしていたけど、私はそんなに気にしないまま、もやしが入っているラーメンを買って、すぐに電子レンジで温めてもらった。
熱々のラーメンをコンビニ前の喫煙者用にある椅子で座って思い切り食べた、
うまい、大好物ではないけど、猛烈に脳裏で食べたいと思う物を食べるのは気持ちがいい。ラーメンを半分くらい食べてラーメンで覆い尽くされていた脳内のキャパが空いて
コンビニに入る前に目の端に止まっていたおじさんが目に入った、不審者ぽくはない、
でもずっと入り口と喫煙所の少し遠くをウロウロしている。
空いたキャパで私は考えた
(おじさんは私に気遣ってタバコを吸えないのかもしれない)
私も喫煙者だったからその気遣いをさせていたら申し訳ないなと思い
おじさんに声をかけた。
「あ、タバコすってもらって良いですよ」
ラーメンを啜る合間におじさんにそう声をかけた
「ちゃうんや、お姉ちゃん」
啜ったラーメンを咀嚼しながらその次をまった。
すごい間だった。めっちゃ溜めるやん
おじさんはすごく神妙な面持ちで、極秘情報を扱うような仕草で私に言った
「あんまな、大きい声で言えへん寝んけどな、マスクがな入荷されるんや、それをな、待ってるんや」
むせそうになった、できるだけ普通を装って
「そうなんですか」
と続けた(その時はマスクが品薄で毎日ニュースになるほどだった。)
その極秘情報はそのおじさんしか知らないらしい
「紙ならなまだあるんやけどな、あ、トイレットペーパーな」
にちゃあと笑いながら、おじさんはギャグを発した
間が面白すぎて、笑わずに
はぁという相槌を打つのがやっとだった。おじさんのマスクに対しての期待する面持ちと今までの間がじわじわシュールにきいてきた。しんどい、
ラーメンをすすりながらマスクを待つおじさんとなにも話さずにコンビニ前にいる
この状況がなんとも言えず、油断すると、ラーメンが鼻に入る。
しばらくするとセブンイレブンの前にトラックが来た。
トラックがかなり長い間ぷーっぷーっと言って止まるのをみながら
ふと、
(入荷しても、すぐに陳列するわけではないな)
と冷静に思った。
トラックが到着して嬉しそうにトラックと私の顔をチラチラ見ながらソワソワするおじさんをみるとなんだかそれを言ってしまうのはシャクな気がした。
ラーメンを汁まで啜って席を立つ
「マスク手に入ると良いですね。」
空になったプラスチック容器をコンビニの袋に入れながらいうと
おじさんは私の袋をみて今までで一番でかい声をおっちゃんがあげた
「あかんで、お姉ちゃん!ラーメンの汁全部飲んだら!肝臓悪くなんで!!」
偏見だけれどこのおじさんの生活背景がありありと浮かび
青汁や健康食品のCMの音声が脳内で流れた
おかしくはない、でもその生活の味わい深さとこの極秘情報を持った
おじさんとのやりとりで
謎の笑いの沸点が満杯だった、もう無理だった
爆笑してしまった。
おっちゃんとバイバイして、
帰り道ラーメンのゴミ袋をみるとさっきのことを思い出して
なんだか愛しくなって
一人で笑って帰った。
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きっとその日は平日だったと思う、ポツポツといた通勤車が少しずつ増えていく、
私はその人たちの3分の2も行かないような速度で、歩く。
東京にいく季節が晴れが多くて、美しい、朝と夕方の決まった時間にしか撮らない写真家のことをいつも東京の朝日で思い出し、納得する。
朝早くの晴天はアメ横のシャッター通りに建物の陰影を柔らかく落とし、彩度を上げすぎないままアメ横はゆっくりと起き出しているようだった。
道ゆく駅に向かう通勤者をぼんやり立ってみていると後ろから声がした。
「あのちょっと良いかしら」
振り向くと同時に私は声にならないまま息を飲んでちょっと間凝視した、
そこには黒色に身を包み、何重かのネックレスをつけて、黒い唾付き坊に金色の花(薔薇?)のコサージュをつけたおばさまが立っていた(たしか淡いピンク色のキャリーバックをひいていた。)
魔女のようだった、
なにかの勧誘か?
一瞬身構えた(手元にはチラシは持っていなかった)
一瞬の間がとても長く感じた
「ごめんなさい、マクドナルドはどこにあるかわかるかしら?」
拍子抜けだった。
マクドナルド?
この魔女が聞いていることがわからなかった。
脳内がバグを起こしてすぐに言葉の意味がわからなかった。
魔女はもう一度聞いた
「マクドナルドはどこにあるかしら?」
魔女はそのまま話を続けて、どうやら早朝の休憩場所を探しているらしいと理解した。
「あ、わかりますよ、」
アメ横のマクドナルドは一度時間潰しに使ったことがあったから場所はなんとなく知っていた。
「ごめんなさいねぇ通勤途中に」
こういう時は私は曖昧に返事をいつもしてしまう、どんな返事をしようかと考えながら曖昧に相槌を打つ。
どんな場所であっても
旅先でその土地の人と間違われるのはいつもちょっと嬉しい、
すぐに携帯の地図アプリを起動させて一番近いマクドナルドを案内した
その魔女はマクドナルドにつくまでに
朝夜行バスで東京についたこと
大叔母のお葬式で名古屋からこっちにきたこと
お葬式は明後日の30日にあること
朝早くについたからずっと行きたかった不忍の池に行ってとても美しかったことを
目をキラキラさせながら話してくれた。
アメ横は看板が混雑していてGoogle マップではすぐそこのはずなのに
なかなかあの特徴的な看板を探すことができなかった。
「もう少しだと思うんですけどね...。」
全然見つからない、もしかして潰れたのか、少し不安になりながら、
その道とGoogleマップを交互にみる
「あ、あったあった!!」
横で魔女が嬉しそうに声をあげる、その時でさえ私はまだその看板を見つけられないままあってよかったですねぇなど、いいながらマクドナルドの前まで一緒に行った、
道路からすぐレジのタイプの都会のマクドナルドだった。
その前で魔女はこう言った。
「お礼にコーヒーでもどうかしら?」
小銭入れを魔女は何処から出しながら私に声をかけてくれた、
こういう時に断ると、すごく残念そうな空気になるのはちょっとなんとなく今は
もったいなかった。
「あ、ありがとうございます、じゃコーヒーで」
ふふっと少し嬉しそうにお茶目に笑いながら
「コーヒーお砂糖いらない?」
「あ、そのままで」
私のはテイクアウトにしてもらった
魔女に笑顔でお礼を言って、良い旅をと言い合いながら別れた。
魔女と別れて上野公園の方に散歩をしてしばらくして思い出した。
2月には30日はない、
その魔女の大叔母の葬式は30日だったから
本当にさっき私が会ったのは魔女だったのかも知れない。
まだ暖かいマクドのコーヒーを持って私は
その魔女が目を光らせて話をしてくれた不忍の池に向かった。
つづく
見た話、
少し前東京に行った、
その時は中国で少し厄介なウィルスがニュースでちらほら始めた時期だった。
その時は東京に展覧会を見に、行った日だったと思う。
その時期は毎年往復3000円くらいで東京に行くことができる。夜行バスに乗って深夜4時に飲む水とおにぎりはいつもの生活から切り離された味がする。
バスは大体新宿か東京に止まるから、早朝のお気に入りの場所がいくつかある。
夜ご飯は夜行バスに乗る時は早めに食べるから到着したら、その日は東京駅に止まるバスだった、
まだ始発も動いていない、朝は酷く冷える、バス停から一番近くで落ち着けるマクドナルドに寄った、朝マフィンと紅茶を頼んで、トレーを持って2階に上がり窓側の席に座る、(一人だと窓側の席が好きだ、)窓ははぬるい紺色の鏡のようになっていて、自分の顔が映る、空が優しい紅ジャケ色になるほど、鏡は消えていき、始発の車窓が通り過ぎた、
腹を満たして、早朝の電車に乗るほんの数駅先の御徒町で降りる
朝早くから空いている銭湯がある、天井にいかにも銭湯の高い窓、昔の京都市立美術館の
高い場所にある窓を思い出す、備え付けのシャンプーで髪を洗う。
シャンプーをしながら、駅から銭湯までの道中を思い出す。
銭湯に行く途中で少し重そうなベージュのバックを方から下げてる斜め少し前に歩いている人がいた、その人よりも遠くに、小さいビリケンさんがあった東京なのに、
地元の関西ではよく見ていたそこそこ大きいビリケンさんを見ていたので間違いない
まごうことなくビリケンさんだった。
(なんであんねん)と内心突っ込みながら笑っていた、がその瞬間そのサラリーマンが吸い込まれるようにそのビリケンさんの方に行き、足の裏を撫でて拝み始めた、
(まじかい)ビリケン信仰は関西だけではなかった
目の前の突然に驚いてしまった、と同時におかしさが湧き出て、サラリーマンが去った後私はしっかり笑った後、まじまじとビリケンさんを見た、足の裏は私が幼い頃見ていたビリケンさんみたいにきちんとすり減っていた。
その道の先には小さい神社がありその角には
人と犬が止まっていた。
犬が止まっているから飼い主が止まっているタイプではなく、
飼い主が止まっているから犬が止まっているタイプだった。
犬が飼い主が動くのを待っていた
どうなるかなと思って少しゆっくり道を歩いた。
割と近くに近づくまで飼い主は動かなかった。
白いシーズーは白目が大きく黒目が完全に飼い主を見ていた、犬が散歩されてるんじゃなくて飼い主の散歩だった。
振り返ってみる犬に気づいたのではなく飼い主は何かを見終わったようで(何も見てなかったかもしれない)とぼとぼと歩き出した。
いつもこんな光景を見ると
少し磁場のヤバイ瞬間に立ち会ってるんじゃないかと言う気持ちになる
(幽霊やオカルトの類は信じ切ってはいないが。)
小一時間かけて、風呂に入り、(いつもならこんなに長くは入らない、銭湯はタイムマシンか?好き)
髪を乾かして半分外の洗面所で持ってきた歯ブラシで歯磨きをする。
いつもなら起きていない時間にこんなのんびりと歯磨きをするのはなんだか贅沢な気分になる。
銭湯から出てもまだ人はまばらだった、御徒町から歩いてアメ横にたどり着くまだシャッター通りのアメ横はポツポツと通勤した人たちとすれ違った。
つづく