部屋

ほんとに見たことのまま書いたり、タネから膨らして書いたりします。

見た話、

少し前東京に行った、

その時は中国で少し厄介なウィルスがニュースでちらほら始めた時期だった。

その時は東京に展覧会を見に、行った日だったと思う。

 

その時期は毎年往復3000円くらいで東京に行くことができる。夜行バスに乗って深夜4時に飲む水とおにぎりはいつもの生活から切り離された味がする。

バスは大体新宿か東京に止まるから、早朝のお気に入りの場所がいくつかある。

夜ご飯は夜行バスに乗る時は早めに食べるから到着したら、その日は東京駅に止まるバスだった、

まだ始発も動いていない、朝は酷く冷える、バス停から一番近くで落ち着けるマクドナルドに寄った、朝マフィンと紅茶を頼んで、トレーを持って2階に上がり窓側の席に座る、(一人だと窓側の席が好きだ、)窓ははぬるい紺色の鏡のようになっていて、自分の顔が映る、空が優しい紅ジャケ色になるほど、鏡は消えていき、始発の車窓が通り過ぎた、

 

腹を満たして、早朝の電車に乗るほんの数駅先の御徒町で降りる

 

朝早くから空いている銭湯がある、天井にいかにも銭湯の高い窓、昔の京都市立美術館の

高い場所にある窓を思い出す、備え付けのシャンプーで髪を洗う。

 

 シャンプーをしながら、駅から銭湯までの道中を思い出す。

 

銭湯に行く途中で少し重そうなベージュのバックを方から下げてる斜め少し前に歩いている人がいた、その人よりも遠くに、小さいビリケンさんがあった東京なのに、

地元の関西ではよく見ていたそこそこ大きいビリケンさんを見ていたので間違いない

 

まごうことなくビリケンさんだった。

 

(なんであんねん)と内心突っ込みながら笑っていた、がその瞬間そのサラリーマンが吸い込まれるようにそのビリケンさんの方に行き、足の裏を撫でて拝み始めた、

 

(まじかい)ビリケン信仰は関西だけではなかった

 

目の前の突然に驚いてしまった、と同時におかしさが湧き出て、サラリーマンが去った後私はしっかり笑った後、まじまじとビリケンさんを見た、足の裏は私が幼い頃見ていたビリケンさんみたいにきちんとすり減っていた。

 

その道の先には小さい神社がありその角には

人と犬が止まっていた。

 

犬が止まっているから飼い主が止まっているタイプではなく、

飼い主が止まっているから犬が止まっているタイプだった。

犬が飼い主が動くのを待っていた

 

どうなるかなと思って少しゆっくり道を歩いた。

 

割と近くに近づくまで飼い主は動かなかった。

白いシーズーは白目が大きく黒目が完全に飼い主を見ていた、犬が散歩されてるんじゃなくて飼い主の散歩だった。

 

振り返ってみる犬に気づいたのではなく飼い主は何かを見終わったようで(何も見てなかったかもしれない)とぼとぼと歩き出した。

 

いつもこんな光景を見ると

少し磁場のヤバイ瞬間に立ち会ってるんじゃないかと言う気持ちになる

(幽霊やオカルトの類は信じ切ってはいないが。)

 

小一時間かけて、風呂に入り、(いつもならこんなに長くは入らない、銭湯はタイムマシンか?好き)

 

髪を乾かして半分外の洗面所で持ってきた歯ブラシで歯磨きをする。

いつもなら起きていない時間にこんなのんびりと歯磨きをするのはなんだか贅沢な気分になる。

 

銭湯から出てもまだ人はまばらだった、御徒町から歩いてアメ横にたどり着くまだシャッター通りアメ横はポツポツと通勤した人たちとすれ違った。

 

つづく